酉島伝法と田村ゆかり

 引き続き『夏色の想像力』を読んでいる。

 今日読んだ中ではやはりうんこ型寄生生物による侵略SF、酉島伝法「金星の蟲」が出色の出来栄え。単なる便秘小説かと思いきや、身近すぎてすごく怖いうんこサスペンス・ホラーだった。途中まではどう読んでも便秘小説なのにいつの間にやらうんこにより世界が変容、というか世界が書き換えられていく。終盤のギアチェンジが見事。

 高山羽根子の4編、「一九八五年のチャムチャム」、「不和ふろつきゐず」、「宇宙の果てまで届いた初めての道具」、「ウリミ系男子とロイコガール」はどれも短くて雰囲気を味わうのみ。忍澤勉「筑波の聖ゲオルギウス」は凧揚げSFとしての希少感が。堀晃「再生」は私小説的な趣きの医療SFですが、これはつまり内宇宙的なアレなんですかね。

 

 とうとう田村ゆかりの最新ライブBDに辿り着いたが考えてみれば1年ちょっとの間にライブBDが4枚も出てるわけで、そりゃ消化も追いつかなくなるわな。なんでこんなことになっているんだろう。10年ほど前のことを思うと隔世の感がある。

 今回のはBD3枚組でライブ2公演を収録。総収録時間は8時間を越え社会人殺しもいいところなので、さすがに休みも利用して3日に分けて観た。毎回「fancy baby doll」やるのでさすがにもういいじゃんって思うんだけど、何年も前から思っていたことなので今さらではある。

 どちらの公演もダブルアンコールがすばらしく、いや武道館のほうは俺が「Fortune of Love」好きすぎるだけっていう気がしないでもないのだけれど、横浜アリーナ公演の「チェルシーガール」は感動的と言ってもいいのではないかと。予定外のダブルアンコールだったみたいで、機材の調整をしている間の田村さんの素のトークがたまらん。あとほんとにやっていいのか不安な感じになってる田村さんの表情がエロい。

 それにしても「Honny Moon」はやっぱりいい曲だなあ。いや元々いい曲なんだけど最近の「Honny Moon」はアレンジが良いのです。Aメロのリズムがツボすぎる。あと「Cherry kiss」のドラムとベースだけで繋ぐところも好きー。

 最近ぜんぜん観に行ってないけど相変わらずプロフェッショナルなライブだな、って思いました。